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このたび,歴史と伝統ある人類働態学会の第29期会長に選出いただきました,順天堂大学の水野基樹でございます.本学会の重責を担うにあたり,身の引き締まる思いとともに,会員の皆様のご支援とご指導を賜りながら,学会のさらなる発展に向けて微力を尽くす所存です.
人類働態学会は,人間が営む「身体運動」や「労働」,そしてそれらを包含する「働態(どうたい)」を多角的な視点から見つめ,人間性の理解と社会への還元を目指して歩みを進めてまいりました.創設以来,先輩諸賢が築き上げてこられた知の蓄積は,現代においても色褪せることなく,私たちの研究の基盤として力強く息づいています.この場を借りて,これまでの歩みを支えてこられた諸先生方,そして会員の皆様の多大なるご尽力に,深く敬意と感謝を申し上げます. 私たちが生きる現代社会は,急激な少子高齢化,デジタル化の進展,そして生活様式や労働環境の劇的な変化など,かつてないスピードで大きな転換期を迎えています.AIやロボティクスが日常生活や産業のあり方を塗り替える中,「人間とは何か」「身体を動かして働くとはどういうことか」という根源的な問いの重要性は,むしろ高まっています.スポーツ,健康科学,医学,人類学,人間工学,心理学,経営学,社会学など,多様な領域が交差する本学会だからこそ,現代社会が直面する課題に対して,新しい時代の「人間観」や「身体観」を提示する使命があると考えております. 今期,私が会長として特に重視したいのは,「異分野の融合」と「次世代の育成」,そして「社会との開かれた対話」の3点です. 第一に,異分野の融合による知の創出です.私の専門は組織行動学やスポーツ経営学ですが,人間が組織や社会の中で動くメカニズム,モチベーションが喚起されるプロセスは,まさに「働態」の核心に通じるものです.医学的な知見や運動生理学,人文社会科学的なアプローチが有機的に結びつくことで,単一の学問領域では捉えきれない複雑な人間行動の全体像を明らかにしていきたいと考えています.会員の皆様が自由に議論し,新しい共同研究が生まれる開かれたプラットフォームとしての機能を強化してまいります. 第二に,次世代を担う若い研究者や学生たちの育成です.これからの学会を引っ張っていくのは,柔軟な発想を持つ若い世代です.若手研究者が自身のアイデアを存分に発表し,国内外で活躍できるような支援体制や,世代間を超えた活発な交流の機会を拡充していきたいと考えております.失敗を恐れず挑戦できる環境を整えることが,本学会の持続的な発展に直結すると確信しています. 第三に,社会との開かれた対話と還元です.私たちが研究から得た知見は,アカデミアの中だけに留めておくべきではありません.健康長寿社会の実現や,安全で活力ある労働・スポーツ環境の構築など,社会の具体的なニーズに対してエビデンスを発信し,実践的な解決策を提案していくことが,私たちの社会的責任です. 人類働態学会は,会員の皆様一人ひとりの情熱と知性によって支えられています.皆様と共に,人間の「働態」を探求する面白さや深さを改めて共有し,未来に向けた新しい価値を社会に発信していけるような,風通しの良い,活気あふれる学会をつくってまいりたいと存じます. 結びになりますが,会員の皆様,そして関係者の皆様のますますのご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げますとともに,本学会の活動に対する温かいご理解とご協力を,今後とも何卒よろしくお願い申し上げます. 浅学非才の身でございますが会員の皆様のお力添えをいただきつつ微力を尽くします.これからも人類働態学会をどうぞよろしくお願いします. 2026年7月吉日 第29期人類働態学会 会長
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